
おせちのあしらいと盛り付け
日本料理では、料理を盛り付けるときに、ちょっと乗せたり、敷いたり、添えたりするものを「あしらい」と言います。中でも、上に乗せるものを「天盛り」、下に敷くものを「かいしき」と言って、料理の見た目や味、香りなどを引き立ててくれます。ご紹介するのは「あしらい」ばかりではありませんが、ちょっとの工夫でおせち料理が見違えますので、ぜひチャレンジしてください。
結び三つ葉を雑煮に

おせち料理は奇数の品数を盛るのが基本。その基本を守って、遊び心あふれる盛り付けを楽しんでみましょう。ここでは、無地のシンプルな重箱を2段使って、お皿感覚でゆったりと盛り付けてみました。重箱のサイズ:6.5寸(約20㎝四方、約6㎝深さ)
松葉ゆず

ゆずの皮を大きめに切ってから白い部分を除き、2㎝×1㎝くらいに切り、短いほうの両端から、互い違いに切り目を2本入れます。切った端と端を松葉のように組み合わせたものが「松葉ゆず」です。さわやかな香りのゆずを常緑で縁起のよい松に見立てています。ゆずの香りが合うなますに乗せて楽しんでみましょう。
糸かけきんとん

きんとんの餡を洋菓子のように盛り付けると、おしゃれでごちそう感もアップします。きんとんは栗を除き、餡が固ければシロップを少量入れて溶き、袋に入れて山高に盛りつけた栗きんとんにしぼりかけます。
南天

「難を転じて福となす」ということで、正月には南天の葉や実を使う習慣があります。特に常緑の南天の葉は、おせち料理の中でも気の利いたワンポイントになってくれます。きんとんなどに添えてもきれいです。
松葉

常緑樹の松は、昔から神聖な力があると大事にされています。料理にちょっと乗せたり、松葉を束ねて飾ったり、いろいろな使い方ができますが、ここでは、松葉に黒豆をさしてかわいらしい盛り付けにしました。黒豆にはあらかじめ楊枝などで穴をあけ、松葉に通しましょう。
ちょろぎ

変わった形をしていますが、しそ科の多年草の塊茎(かいけい)です。「長老喜」、「千代老木」と書かれ、赤く酢漬けにしたものが正月に食べられます。黒々とつややかな黒豆と真っ赤なちょろぎの組み合わせは、いかにも正月らしいです。